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相続法改正連続講座第9回~特別の寄与~

皆様、こんにちは。
今回の青山通信も、相続法改正に関する連続講座をお送りします。
第9回のテーマは「特別の寄与」です。

 

 


 

 

こんにちは。弁護士の柴澤です。

今回は、令和元年7月1日から施行されている、特別の寄与についてご紹介いたします。

 

 
 
 
 
 
 
1 「特別の寄与」の制度が新設される前の問題点
 
 
 
 

 被相続人に対して療養看護等の貢献をした者相続財産から分配を受けることを認める制度としては、寄与分の制度があります。

 

 

 

 寄与分の制度は、共同相続人中に、被相続人の事業に関する労務の提供又は財産上の給付、被相続人の療養看護その他の方法により被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした者があるときは、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額から共同相続人の協議で定めたその者の寄与分を控除したものを相続財産とみなし、第900条から第902条までの規定により算定した相続分に寄与分を加えた額をもってその者の相続分とする制度です(民法904条の2)。

 

 

 

 もっとも、この制度は、相続人にのみ認められているため、例えば、相続人の妻が、被相続人(夫の父)の療養看護に努め、被相続人の財産の維持又は増加に寄与した場合であっても、遺産分割手続において、相続人ではない妻が寄与分を主張したり、財産の分配を請求したりすることはできませんでした。

 

 

 

 実務においては、夫の寄与分の中で妻の寄与行為を考慮することで解決を図っていましたが、夫が被相続人よりも先に死亡した場合には、妻の寄与行為を考慮することができないという問題がありました。

 

 

 

 また、相続人以外の貢献を考慮するための制度として、特別縁故者の制度(民法958条の3)がありますが、相続人が存在する場合には利用することができません。他にも、準委任契約に基づく請求、事務管理に基づく費用償還請求又は不当利得返還請求をするという方法も考えられますが、その成立が認められなかったり、立証が困難であったりする場合もありました。

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
2 「特別の寄与」の制度とは
 
 
 
 

 そこで、改正法では、新たに、特別の寄与の制度が新設されました(寄与分の制度はそのままです。)。

 

 

 

 特別の寄与の制度は、被相続人に対して無償で療養看護その他の労務の提供をしたことにより被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした被相続人の親族(相続人、相続放棄をした者及び相続欠格又は廃除によってその相続権を失った者を除きます。以下「特別寄与者」といいます。)は、相続の開始後、相続人に対し、特別寄与者の寄与に応じた額の金銭(特別寄与料)の請求をすることができるとするものです(民法1050条1項)。

 

 

 

 この制度は、①親族が行った労務の提供が対象となっており、①親族以外の方が療養看護を行った場合や②財産上の給付を行った場合には適用されません。また、労務の提供をするだけでは足りず、被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与がある場合でなければなりません。

 

 

 

 もしも特別寄与料の支払いについて、当事者間に協議が調わないとき又は協議をすることができないときは、特別寄与者は、家庭裁判所に対して協議に代わる処分を請求することができます(民法1050条2項本文)。ただし、特別寄与者が相続の開始及び相続人を知った時から6か月を経過したとき、又は相続開始の時から1年を経過したときは、このような請求をすることができなくなりますので(同項ただし書)、ご注意ください。

 

 

 

 なお、この制度が適用されるのは、令和元年7月1日以降に相続が開始された場合です(民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律附則2条)。

 

 

 
 
 
 
 
 
 
3 まとめ
 
 
 

 

 

 

 以上のとおり、相続人以外の親族であっても、特別寄与料の請求をすることができるようになりました。上記のように要件が定められており、被相続人の介護をしていれば必ず請求が認められるわけではありませんのでご注意ください。

 

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