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相続法改正連続講座第8回~相続による義務の承継に関する規律~

皆様、こんにちは。
今回の青山通信も、相続法改正に関する連続講座をお送りします。
第8回のテーマは「相続による義務の承継に関する規律」です。

 

 


 

 

皆様こんにちは。弁護士の輪倉です。

 

 

今回は、相続により義務を承継した場合の規律についてご紹介いたします。

 
 
 
 
 
 
1 改正内容
 
 
 
 

 義務の承継に関する規律として、今回の改正では、「相続分の指定がある場合の債権者の権利の行使」についての条文が追加されました。

 

 

 

 追加された条文は以下のとおりです。

 

 

 

 「被相続人が相続開始の時において有した債務の債権者は、前条の規定による相続分の指定がされた場合であっても、各共同相続人に対し、第900条及び第901条の規定により算定した相続分に応じてその権利を行使することができる。」(民法第902条の2本文)

 

 

 

 これは、遺言により相続分の指定がされた場合であっても、被相続人の債権者は、原則として、各共同相続人に対し、その法定相続分に応じて、権利を行使することができることを定めたものです。

 

 

 

 例外として、「ただし、その債権者が共同相続人の一人に対してその指定された相続分に応じた債務の承継を承認したときは、この限りでない。」(同条但書)と定められています。

 

 

 

 したがって、相続人の債権者は、指定相続分の割合による義務の承継を承認しない限り各共同相続人に対し、法定相続分の割合による権利行使ができることになります。

 

 

 

 もっとも、改正前においても、判例は、「相続債務についての相続分の指定は、相続債務の債権者(以下「相続債権者」という。)の関与なくされたものであるから、相続債権者に対してはその効力が及ばないものと解するのが相当であり、各相続人は、相続債権者から法定相続分に従った相続債務の履行を求められたときには、これに応じなければならず、指定相続分に応じて相続債務を承継したことを主張することはできないが、相続債権者の方から相続債務についての相続分の指定の効力を承認し、各相続人に対し、指定相続分に応じた相続債務の履行を請求することは妨げられないというべきである」(最判平成21年3月24日民集63巻3号427頁)と判示しています。

 

 

 

 つまり、今回の改正は、判例の考え方を明文化したものであるといえます。

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
2 具体例
 
 
 
 

・被相続人:A 相続人:子B、子C

 

・遺言により、Bの相続分:4分の3、Cの相続分:4分の1とされた場合で、Aは1000万円の貸金債務を負って死亡したケース

 

 

 

 上記のケースにおいて、Aの債権者は、B及びCに対し、それぞれ500万円(法定相続分である各2分の1の割合による金額)の貸金債権を行使できることになります。

 

 

 ただし、Aの債権者が、B又はCに対して、指定相続分の割合による債務の承継を承認した場合には、Bに対して750万円(4分の3)Cに対して250万円(4分の1)の貸金債権を行使できることになります。

 

 

 

 なお、BC間の内部負担割合は指定相続分に従うことになるため、Cが、Aの債権者に対し、法定相続分に応じて500万円を支払った場合には、Cは、Bに対して、250万円(指定相続分を超える額)について求償することができます。

 

 

 
 
 
 
 
 
 
3 まとめ
 
 
 

 

 今回の改正内容は判例法理を明文化したものであり、従前の取扱いからの変更点はありませんが、被相続人が借金などの義務を負っていた場合には、ぜひ知っておくべき内容といえます。

 

 相続関係でお困りの場合には、当事務所までお気軽にご相談ください。