新着情報

新型コロナウイルス感染症による不可抗力免責について

皆様、こんにちは。
今回の青山通信は、新型コロナウイルス感染症による不可抗力免責に関する情報をお届けします。

 

 


 

 

 

皆様こんにちは。弁護士の栁瀬です。

 

新型コロナウイルス感染症の拡大によって、各社の事業活動に影響が出始めています。とりわけ取引面では、資材や商品の配送が遅れたり、仕入先から部品や材料を調達することができず納品が間に合わない場合などが想定されます(債務不履行)。このような場合に「不可抗力」による免責が認められるか否かが問題になります。

 

 

 

民法など法律の条文には、「不可抗力」という文言が出てくる場合があります。しかしながら、「不可抗力」の定義は統一されていません。また、「不可抗力」の判定基準についても議論がある状況です。従前の見解では、「外部から生じた原因であり、かつ防止のために相当の注意をしても防止できない事件」か否かという判断基準がありました。近時では、「契約類型上の危険分配あるいは特別に約定された危険分配の枠を超えた障害」という捉え方もあります(新版注釈民法(10)Ⅱ債権(1)債権の目的・効力(2)172頁)。結局のところ、一般論としての「不可抗力」の考え方は様々であり、それ自体が該当性をめぐって紛争になるリスクがあります。

 

 

 

取引契約書などには、「洪水、台風、地震、津波・・・その他不可抗力による債務不履行については、その責任を負わない。」とする不可抗力条項が存在する場合があります。このような条項は、不可抗力の内容を具体化し、紛争のリスクを低減するものといえます。しかしながら、今回のコロナウイルス感染症についてみると、不可抗力条項に「疫病」や「感染症」が列挙されていない場合には条項の解釈や該当性をめぐって紛争になるリスクがあります。また、部品や材料の調達不能によって二次的、三次的に影響が拡大し、サプライチェーンが機能しなくなった場合、どの範囲までが不可抗力条項の適用対象になるのかが問題になるリスクもあります。

 

 

 

このように「不可抗力」による免責の有無は、個々の事情を踏まえて事案ごとに判断せざるを得ない面があります。各社におかれましては、まずは上記のようなリスクが存在することを認識した上で、新型コロナウイルス感染症による影響を想定し、事前に取引先と協議をして、一定のコンセンサスを得ておくことが重要になるかと思います。

 

 

 

当事務所では、皆様が直面する法律問題に対し、適切なサポートをしてまいりたいと考えておりますので、お困りの事項がございましたら、お気軽にご相談ください。

 

 

 

※上記内容は、令和2年3月10日現在の情報に基づく記事になっておりますので了承ください。