新着情報

これって法律用語?~「乃至」、「限り」等~

皆様、こんにちは。
今回の青山通信は、法律用語に関する情報をお届けします。

 

 


 

 

皆様こんにちは。弁護士の輪倉です。

 

 

契約書、合意書等で用いられる用語の中には、日常生活とは異なる意味で用いられるものもあり、依頼者の方が誤解していたというケースもありました。そこで、今回は、契約書、合意書等で用いられることが多いと思われる法律用語について解説いたします。

 

 

1 乃至

 

 

 「乃至」は「ないし」と読みます。一般的には、「あるいは」「または」といった意味で用いられることが多いように思いますが、法律用語としては、「~から~まで」という意味となります。

 

 

 

 したがって、「第1条乃至第4条」と記載されている場合は、「第1条または第4条」ではなく、「第1条から第4条まで」という意味となります。

 

 

  ただし、最近では、法律でも「第○条から第○条まで」といった表現が用いられるようになってきましたので、今後は「乃至」はあまり用いられなくなっていくかもしれません。

 

 

 

2 限り

 

 

  合意書等で支払期日を定める場合に、「金○万円を令和2年8月31日限り支払う」と記載されることがあります。

 

 

 

  この場合、「限り」と記載されているためか、「8月31日に支払わなければならない」と考えて、「8月31日よりも前に支払ってはいけない」と誤解されるケースがよくあります。しかし、これは「8月31日までに支払う」という意味ですので、8月31日より前の日に支払ったとしても問題はありません。日常生活で用いる「限り」とはニュアンスが少し異なるので、誤解されることの多い用語の一つです。

 

 

 

 

 

3 又は、若しくは

 

 

 

  「又は」、「若しくは」はいずれも2つ以上の言葉を選択的に接続するための接続詞です。どちらも同じような意味であるため、区別する必要はないと思われるかもしれませんが、それぞれの用語は厳密に使い分けられています。

 

 

 

  まず、「又は」は接続される言葉が同じグループである場合に用いられます。3つ以上の言葉を接続する場合は、「A、B又はC」というように最後に「又は」を付けます。

 

 

 

  次に、接続される言葉が同じグループでない場合一番大きいグループに「又は」を用いて、それよりも小さいグループには「若しくは」を用います。(A、B、C)というグループと、(D)というグループとを対比させる場合には、「A、B若しくはC又はD」となります。

 

 

 

 

4 及び、並びに

 

 

 

  「及び」、「並びに」はいずれも2つ以上の言葉を併合的に接続するための接続詞です。こちらもそれぞれの用語は厳密に使い分けられています。

 

 

 

  使い方としては、さきほどの「又は」、「若しくは」とほとんど同じです。「及び」は接続される言葉が同じグループである場合に用いられ、同じグループでない場合には、一番小さいグループに「及び」を用いて、それよりも大きいグループに「並びに」を用います。(A、B、C)と(D)のグループを接続する場合、「A、B及びC並びにD」となります。

 

 

 

 

 

今回は契約書、合意書等で用いられることが多い用語をいくつかご紹介しました。

 

 

契約書、合意書の中には、日常生活で用いられているものとは異なる意味の用語があることもあります。内容がよくわからない場合には、専門家に相談してみることをおすすめします。